アイスワインとはどんなワイン?
偶然と自然が生んだ奇跡
カナダといえばアイスワインはよく聞くけど、アイスワインって凍らせたワイン?と思う方もいるかもしれません。アイスワインとは、自然に凍ったブドウを原料に造られる甘口なワインのことです。豊かな風味と上品な甘さが魅力で、ワインが苦手な方でもデザートワインとして楽しまれています。
1794年、ドイツ・フランコニア地方にある修道院のブドウ畑がとてつもない寒波に襲われました。
凍結したブドウを捨てずにワインを造ってみたところ、とても甘味の強い芳醇な香りのワインが仕上がったのです。
予想外の寒波がなければ生まれなかったこのワインは「奇跡のワイン」と呼ばれています。
この偶然からアイスワインが造られるようになり、当時アイスワインは貴族だけが飲める希少品でした。
アイスワインの希少さと甘さのヒミツ
マイナス8℃で収穫すぐに圧搾アイスワインに使用するブドウは、樹につけたまま完熟されるため、9月頃の収穫期になっても摘まずに寒くなるのを待ちます。そのため、鳥類や昆虫、もぐらの被害が多く、多くの農場が収穫減を余儀なくされます。
ブドウが凍るには気温がマイナス8℃以下になる必要があり、ブドウが凍結したら真冬の早朝に一気に収穫、凍ったまま搾汁します。
わずかスプーン1杯程度凍ったブドウ一房から搾れる果汁は、わずかティースプーン1杯程度。
通常のブドウに比べ、10分の1から20分の1程度しか水分が出ません。普通のワインよりも約10~20倍以上のブドウが必要となります。
糖度は35度以上
さらに果汁の最低糖度が35度以上でないとアイスワインと認められず、世界的にも厳しい基準が定められています。
アイスワインを名乗れるのは世界で3ヶ国のみ
アイスワインの生産が正式に行える国は、ドイツ、オーストリア、そしてカナダの3ヶ国のみ。現在カナダはアイスワインを造るうえで最も適したテロワール(環境)を有しているため、世界最大のアイスワイン生産国です。
過酷な労働下で生産量は少ないため、非常に貴重なアイスワイン。その貴重な果汁を丁寧に醗酵して造られたワインは、酸味と甘味のバランスが絶妙で完熟したブドウを口に含んだような贅沢な味わいになるのです。
アイスワインの選び方
◆品種で選ぶ
アイスワインにも赤か白か選べます。一般的に白ブドウから造られることが多いため、赤ブドウで造られるアイスワインはとても希少です。赤と白をブレンドしたアイスワインもあり、飲み比べを楽しむこともできます。
カナダのアイスワインに使われるブドウは大きくわけて、ヴィダル、リースリング、カベルネフランの3種類が主になります。
・ヴィダル
主にカナダで栽培されている品種。アップルマンゴーなどのトロピカルフルーツや、ハチミツの味わい。果皮が厚く耐寒性が強いのでアイスワインに適しています。
・リースリング
カナダ・ドイツで定番の品種。酸味と甘味のバランスが良く、青リンゴやシトラスような味わい。スッキリとした甘さで白ワインがお好きな方におすすめです。
・カベルネ・フラン
赤ワインでは人気の品種。イチゴのように赤くベリーやチェリーなどの風味。イチゴジャムのような濃厚な甘さが特徴。赤ワインや甘口ワインがお好きな方におすすめです。
アイスワインの美味しい飲み方